vol.08 胃腸薬ののみ方【専門医が解説する胃に関する疑問】

  • 胃のメカニズム
  • 胃薬の雑学

胃腸薬のパッケージや添付文書には必ず服用方法が記載されています。各々の製品によって服用方法が異なっているのにお気づきですか?

  • 例えば緑の胃薬サクロン(第2類医薬品)の場合は、「食間および就寝前の空腹時に水またはお湯で服用」と記載しています。
    食間とはいつのこと?なぜ就寝前の空腹時なの?と思われませんか。これには訳があります。
    <食間とは>
    食間とは食後2時間ほど経過して、胃の中に食べ物がほぼなくなっている状態をいいます。
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    <なぜサクロンは食間や就寝前の空腹時が良いの?>
    サクロンは、葉緑素成分の働きを利用して、アルコールや胃酸などの刺激で傷付いた胃粘膜を修復・保護する胃薬です。ですから、胃の中がほぼ空の状態で、服用した成分が胃の表面に付着しやすいような時期に服用するのが効果的と言えます。
  • 例えば、「弱った胃を粘液のベールで整えるセルベール」の場合には、「食後に服用」と記載しています。
    食後とはまさに食事を終えた後のことです。食後すぐに胃薬を必要とする場合とはどのようなときでしょうか?
    食後の胃は、食べたもので満たされています。しかし、年齢や体調などの影響により胃の働きが低下していると、食べたものの消化に時間を要し、胃もたれなどの不快症状の原因になることがあります。このような症状の改善に効果を発揮するのがセルベール(第2類医薬品)です。セルベールは、消化を助けるため胃の運動を高めると同時に胃を各種刺激から守る胃粘液の分泌を活発にして、食後の胃の不快感を解消します。ですので、食間ではなく食後の服用が望ましいのです。また、もうひとつの理由として、有効成分のテプレノンが脂溶性なので、胃の中に食べものが満たされている方が吸収されやすいことが上げられます。
  • そのほかにも、鎮痛鎮痙成分(オキセサゼイン)を配合したサクロンQ(第2類医薬品)は、痛みや吐き気がある時に服用いただく製品です。しかし、服用時期は上記の2剤のように規定されていません。服用すると胃の中ですぐに溶けて胃の粘膜に作用するため、痛みを感じた時に服用いただける製品です。(但し、サクロンQでは、服用間隔を4時間以上あける)

各薬剤には、それぞれ異なる特徴があります。胃腸薬はなんでも同じではありません。その時々の症状などに合った薬剤の服用をお奨めします。服用前には必ず服用量と服用時期を確認しましょう。

監修

成田 亜希子 先生profile

  • 医療法人ウェルパートナー
    主任医師
    内科、皮膚科

2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の診療を行ってきた。自身は二児の母。育児中は医療行政に関わり、国立保健医療科学院や結核研究所で感染症対策などを含めた公衆衛生分野の研鑽に励んだ。

まとめ

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