人間以外の生き物も消化管を持っています。犬やウサギ、ウシなど身近なほ乳類とはどこが同じでどこが違うのか。あるいは魚類や両生類は人間とどのように違っているのでしょう。実際に動物園や水族館、牧場などに出かけて行って、観察したり、係の人に聞いたりしてみましょう。
お手伝いシートについて
親子で調べたことを“学習のまとめ”として、わかりやすく整理するためのお助けツール「お手伝いシート」です。自由研究の成果レポートとしても、お使いいただけます。
目次
(1)動物の胃と人間の胃はどう違う?
(2)反芻動物の胃ってどうなってるの?
(3)牛の胃を実際に見ることはできる!?
動物の胃と人間の胃はどう違う?
胃は食べ物を消化するための器官です。では、人間以外の動物の消化管はどうなっているのかなど、いろんな動物の消化のつくりについて調べてみましょう。
人や犬、うさぎなどのほ乳類のほか、魚類や両生類の消化器はどうなっているのでしょうか?ペットを飼っているご家庭なら排泄物をチェックしてみましょう。
学習のまとめ
お手伝いシートを使って、いろんな動物の消化管の名称を調べてみよう!
ワンポイントアドバイス
ほ乳類の場合、肉食・草食・雑食の3種類にわけられます。
●雑食・・・人・豚など
●肉食・・・犬・猫・ライオンなど
犬もいろいろ食べますが、基本的には肉食性です。一般的に肉食動物のうんこは臭いといわれています。これは胃や腸で消化しきれなかった肉(タンパク質)の分解がおこり、その結果、アンモニアやイオウを含んだアミノ酸で生じた「イオウ化合物」により、おならやうんこが臭くなるといわれています。
猫に比べて、野生のトラやライオンは肉しか食べないので、かなり臭いです。(かっちゃんはアフリカで臭いをかぎました。動物園にいったときに、体感してみてはいかが?)
●草食・・・牛、モルモット、うさぎなど
これらの動物は繊維を分解する微生物が腸にいて、草を栄養にすることができるので草だけで生きています。草食性の動物のうち、牛などの反芻(はんすう)動物は、独特の消化管の構造をしています。反芻動物の消化管の構造については、次の項目で学びます。
反芻動物の胃ってどうなってるの?
反芻動物の消化管は、胃が4つにわかれていて、口に近い方から第1胃、第2胃、第3胃、第4胃となっています。反芻(はんすう)とはくり返すという意味で、食べたものを第1胃に入れたり、口に戻したりしています。
お子さまと牧場や動物園に出かけて、一緒に牛やヤギを観察してみましょう。いつまでもクチャクチャと反芻している様子がわかります。なぜ、反芻しているのかを、牧場のひとや飼育係りのおじさんに聞いてみてもよいでしょう。
学習のまとめ
お手伝いシートの○に適切な数字を入れて、反芻動物の消化管の図を完成させよう。
ワンポイントアドバイス
牛の4つの胃は、それぞれこんな役割を果たしています。
●第1胃
微生物がたくさんいて、食物の分解をしています。第1胃は微生物による発酵の場所で、食べた草の繊維成分の分解をします。人の腸の発酵と同じで、反芻動物は第1胃の発酵でガスを出します。このガスはゲップとして出されます。
●第2胃
第2胃は、第1胃につながっていて、小さなこぶのような形をしています。ポンプのように収縮をくり返して、半分ほど消化された草を、ふたたび口へと送ります。こうして口にもどされた半分ほど消化した草は、ふたたび、ゆっくり20~50分間、かみなおされます。牛が休んでいるときにも口を動かしているのは、このためです。
●第3胃
反芻されてドロドロになった草が流れ込みます。第3胃はヒダヒダがたくさんあり、そのヒダヒダの間で機械的にすりつぶされて、細かくなって消化しやすくなった時点で第4胃に送られます。
●第4胃
人の胃と同じように消化機能をもっているのが、この第4胃です。第4胃にある胃液で、第3胃から送られてきた細かくされた草を消化します。
牛の胃を実際に見ることはできる!?
牛の第1胃から第4胃までを実際に見るには、焼肉屋さんに行くのがいちばんわかりやすいでしょう。家族みんなで出かけて、メニューをみながら牛の胃はどれか?どれが第○胃なのか?を当ててみましょう。
ワンポイントアドバイス
牛の4つの胃は焼肉店などでたべることができます。
●第1胃
「ミノ」と呼ばれます。コリコリしておいしいです。肉厚で白い色をしています。歯ごたえがあるので包丁で切り込みが入っています。切り開いた形が簑傘に似ていることから「ミノ」と呼ばれるようになったそうです。
●第2胃
「ハチノス」と呼ばれます。あっさりとした食感です。名前のとおり、蜂の巣のような模様があります。
●第3胃
「センマイ」と呼ばれます。焼いて食べるのはもちろん、酢の物になっていることも多いです。
●第4胃
「ギアラ」と呼ばれます。しっかりと焼いて脂を落として食べるとおいしいです。
牧場、動物園へいってみよう
お出かけをかねて、お子さまと一緒に動物園や牧場など、動物とふれあえるスポットへ遊びにいって観察してみましょう。そこの飼育係さんにいろいろ質問してみてはいかがでしょうか。
インターネットで調べてみよう
お子さまと一緒にインターネットで調べてみてもよいでしょう。インターネット検索するのに適切なキーワードとしては、「動物の消化管」「動物の消化器」などで検索してみましょう。