バリウム検査(X線・レントゲン)
胃の位置や形、伸展性、粘膜の凹凸などを見るために行う検査です。胃はそのままだとX線を透過してしまい写すことができないので、X線を通さないバリウム(造影剤)を飲んでから撮影します。
撮影法は主に「立位充盈(じゅうえい)像」「二重造影」「圧迫像」に分けられます。
- 立位充盈(じゅうえい)像:十分量のバリウムを胃に溜め込むことで胃を伸展させ、伸展障害の有無や胃の輪郭に不整や変形がないかを見るもの。
- 二重造影:発泡剤を飲み胃を膨らませ体位を変換することで、バリウムでコーティングして白く写る胃壁と、空気で黒く抜ける部分とのコントラストを作り、胃粘膜表面の凹凸や粘膜模様、粘膜ヒダなどを見るもの。
- 圧迫像:体の外から圧迫を加えることでバリウムの層を薄くすることで、病変周囲のバリウムの濃淡をつけて診断するもの。
検査の手順
※対象者や目的により検査方法が異なります。ここでは一般に市区町村で行われる「対策型胃がん検診」における一般的な方法について解説します。
- 顆粒の発泡剤を少量のバリウムで飲みます(胃が膨らみゲップが出やすくなりますが、検査終了までゲップは我慢しましょう)。
- 残りのバリウムを指示に従って飲み、左斜め前を向いて撮影台に立ちます。
- 台が倒れます(左斜め前を向くのは、台を倒した際に身体の左側が下になるようにし、バリウムが小腸側へ流れ込むのを防ぐためです)。
- バリウムを胃壁全体に満遍なく付着させるため、素早く右周りに3回転します(ゆっくり回転してしまう小腸側にバリウムが流れ込み、診断の妨げになります)。
- 様々な角度から撮影が行われます。検査者の指示に従って動きます。撮影時のブレを防ぐために適宜「息を止めてください」という指示があります。
- 検査後にバリウムが長く体内に停滞すると、偶発症のリスクが高まります。検査後は、下剤となるべくたくさんの水を飲み、バリウムの排泄を促します。
注意
検査前後の食事や常用薬の内服については検査機関の指示に従ってください。 検査当日の服装は、X線を透過しないボタンやファスナーのついたものは避け動きやすい服装にしましょう。 妊娠中または妊娠の可能性のある方・過去に胃の手術を受けられた方・検査薬に対してアレルギーのある方・心臓や腎臓に持病のある方・高度便秘症の方など、胃X線検査に適さない方もいます。ご不安がある場合は事前に検査機関に確認をしてください。