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骨ケアサミット in 西播磨 テーマ:「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とロコモ対策 ~寝たきりを防ぐために~」

 超高齢化社会を迎えた日本では、健康寿命の延伸が社会的にも極めて重要な課題となっています。健康寿命に影響する要介護状態や生命予後に密接に関連しているといわれているのが、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とロコモティブシンドローム(以下ロコモ)です。本日は西播磨地域で、毎日多くの患者さんを診療されている先生方にお集まりいただき、高齢者を中心として寝たきりを防ぐための骨粗鬆症とロコモ対策について、さまざまな切り口から臨床に関わるお話を伺いました。

「人口の10人に1人は骨粗鬆症」という時代に突入

佐浦先生まずはじめに骨粗鬆症ついてお話をお伺いしたいと思います。

西川先生骨粗鬆症は、骨の成分であるカルシウムやタンパク質が少なくなって、骨に「鬆(す)」が入ったようにスカスカになる病気です。古代エジプトのミイラからもスカスカになった骨が発見されているので、人類の歴史が始まってすぐの頃から、この病気があったといわれています。骨がもろくなって、軽い力が加わっただけも骨折してしまいます。正常な背骨は、断面写真を見ると内部の密度が高くしっかりした感じがしますが、骨粗鬆症の骨は“柱”の部分が少なく、さらに全体が細くなっています。こうなってしまうのは、加齢、運動不足、栄養不足、大量のステロイドの内服などが主な原因といわれています。骨粗鬆症になると、見た目の変化としては、背中が曲がって姿勢が悪くなります。多くは背骨の前のほうが、グシャッとつぶれてきますので、前傾した格好になります。最近はそれほど腰の曲がりがひどい方は見かけなくなりましたが、腰が曲がると腰痛が出てきますし、しりもちをついたり手をついたり、あるいはちょっと重たい物を持っただけでも骨が折れてしまうことがあります。その結果、寝たきりの状態になってしまいます。背骨は、転んだり打ったりする以外に、体の重みでつぶれてしまうこともあります。これを圧迫骨折といいます。平成22年の厚生労働省の調べでは、寝たきりになって介護が必要になった原因として、脳血管疾患、認知症に次いで第3位が転倒・骨折・関節疾患となっています。この辺りに骨粗鬆症が絡んでいると思われます。

佐浦先生
続きまして、骨粗鬆症の患者さんの状況について、林先生から解説していただきたいと思います。

図1 骨粗鬆症で1度骨折すると再骨折をする危険が大きい

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林先生総務省の推計では、50歳代の女性は10%、60歳代の女性は31.8%で約3人に1人、70歳代の女性では49.6%、ほぼ半数の方が骨粗鬆症になっていると報告されています。ほんの10年前は、もう少し少なかったように記憶していますが、この推計からするとかなりのスピードで骨粗鬆症の患者さんが増えていることになります。いま、全国の骨粗鬆症患者さんは総数で1,280万人という推定もあります。ということは、人口の10人に1人は骨粗鬆症という時代に突入しているのです。骨粗鬆症で問題になる背骨の骨折と脚のつけ根の骨折の患者さんが年々、増えてきていますので、これをとっても骨粗鬆症の患者さんがすごい勢いで増加していることがわかります。骨粗鬆症は1つの老化現象ですので、昔は放っておくしかないと考える先生方も多かったと聞いていますが、骨粗鬆症を治療しないままでいると7%(14人に1人)の方が1年以内に背骨を骨折し、そのうち5人に1人は最初の骨折から1年以内に2度目の骨折を起こすというデータ(図1)があります。これは放っておけない状態です。また、脚のつけ根の骨折をしたことがある60歳代の女性が5年間に再骨折する危険性は、骨折したことのない女性に比べて16.9倍も高くなります。これは「この間に何か治療すべきである」というメッセージではないでしょうか。骨粗鬆症で骨が弱くなったために骨折した方は、骨折していない方の2倍強くらい骨折を起こす危険性があるともいわれていますので、骨折予防のために骨粗鬆症の治療が必要だといえます。

佐浦先生
ありがとうございました。林先生からのご説明で、60歳以上の女性で、急激に骨粗鬆症の罹患率(りかんりつ)は上昇することがわかりました。では、骨粗鬆症による骨折で多く見られる脚のつけ根の骨折について、京先生、教えてください。
京先生
脚のつけ根の骨折は、非常に深刻な骨折です。なぜかというと、ほとんどの場合、手術を必要とするからです。手術には、手術時のリスクがありますし、また、術後のリスクもあります。脚のつけ根の骨折の患者さんの数が徐々に多くなっていますが、たぶんこれは、少子高齢化で高齢化率がどんどん上がっているということだと思います。それに加えて、骨粗鬆症の治療がまだあまり浸透してないということに原因があるのかもしれません。脚のつけ根の骨折の原因は、ほとんどが単純な転倒、次いで交通事故、階段での転倒となっていますが、転倒する前に体をねじった時、ヒビが入って折れているのではないかという説もあります。このように、ちょっとした捻転(ねんてん:ねじり)や外傷ですぐに折れるということは、やはり相当な骨粗鬆症があるのだろうと思います。

図2 骨粗鬆症による脚のつけ根の骨折はこれほどリスクがある

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脚のつけ根は非常に強い場所で、そう簡単に折れるところではありません。それが、骨粗鬆症が進んだ方は、ちょっと転んだだけで折れてしまうのです。脚のつけ根を骨折した患者さんは、折れていない人に比べると、生存率が約20%低く、寝たきりになる率も非常に高いと思われます(図2)。脚のつけ根を骨折すると、手術が成功しても50%の方が骨折前の機能にまで回復せず、歩行できなくなる方もおられます。4分の1の方が自宅に帰っての生活ができなくなり、施設に入所して過ごしておられます。また、手術が成功しても、20%の方が何らかの原因で1年くらいの間に亡くなっています。このようなことを考えれば、やはり骨粗鬆症の治療を十分にしていく必要があるのではないかと思います。
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