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骨ケアサミット in 信州 テーマ:「骨や筋肉の老化と骨粗鬆症」

骨や筋肉は年を重ねるごとに老化していき骨折を起こしやすくなりますが、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)はそれに拍車をかける病気であるため適切な治療が必要です。また、骨粗鬆症による骨折は、寝たきりや要介護の危険性を高めるだけでなく、寿命にも悪影響を及ぼすことが分かってきました。しかし、1,000万人を超える骨粗鬆症患者さんのうち治療を受けているのは約2割に過ぎず、治療の重要性が浸透していない現状が問題視されています。そこで今回は、全国1位の長寿県である長野県で骨粗鬆症治療に携わっておられる先生方にお集まりいただき、骨粗鬆症による骨折の重大性と、骨折を避けるための治療のポイントについてお話をうかがいました。

背骨、太ももの付け根の骨折は日常生活や寿命に重大な悪影響

図1 長野県の平均寿命と健康寿命

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内山先生長野県の平均寿命は男性80.88歳、女性87.18歳であり、男女とも長寿日本一ということをご存じの方は多いと思います。その一方で、健康で自立した生活を送ることができる期間を指す健康寿命は男性6位、女性17位にとどまっており、平均寿命との差は男性で9.71年、女性で13.18年あります(図1)。この数字は、長野県の方々が平均して人生最後の10年前後を、何らかの支援・介護を受けて生活する必要があることを意味しています。健康寿命を延ばすためには、私たち医師の努力だけでは十分でない面もありますので、患者さんや一般の方々にも病気のことを十分に知っていただいた上で、その予防や治療に努めていただくことがとても大切です。そこで本日は、健康寿命を縮める原因の1つである骨粗鬆症に焦点を当て、その特徴や治療について先生方のお話をうかがっていきたいと思います。まずは前角先生から、骨粗鬆症の特徴についてお聞かせいただきたいと思います。

前角先生骨粗鬆症になると、骨がもろくなり骨折する危険性が高まりますが、こうした骨折のことを脆弱(ぜいじゃく)性骨折と呼びます。脆弱性骨折は背骨〔(椎体(ついたい)〕で最も多く起こることが知られており、太ももの付け根付近にあたる大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)が続きます。また、手首付近の橈骨遠位端(とうこつえんいたん)、肩と腕の関節部付近の上腕骨近位端(じょうわんこつきんいたん)でも骨折が多く起こります。この中で、大腿骨近位部骨折と椎体骨折は日常生活に支障をきたす可能性が高く、寿命にも悪影響を及ぼすことが知られています。
椎体骨折の発生率は年齢とともに増える傾向にあり、特に70歳以上の女性では2つ以上の椎体骨折を起こした方の割合が急速に増加します。椎体骨折は転倒などの外傷がなくても、体をひねったり曲げたりする程度で起きることがあるため、患者さんご自身は椎体骨折と気付かず専門医を受診しない方が多くおられます。高齢女性に腰の曲がった方が多くおられますが、これは椎体骨折が主な原因の1つと考えられます。
 大腿骨近位部骨折の発生率は70歳代から急速に増加し、発生原因は単純な転倒が大半を占めています。これは身体能力が低下して、つまずきやすくなることが影響しているものと思われます。50歳代までは転倒した時に手をついて体を守ることができますが、高齢者では転倒した時に手が出ず横に転倒するため、肩や股関節を直接うって骨折することが少なくありません。2008年の調査によると、全国で大腿骨近位部骨折を起こした方は年間約14万人と推計されており,男女比は1対3と女性が多く、西日本でより多く発生する傾向が見られます。

大腿骨近位部骨折は海外で減少する一方、日本では増加

内山先生
骨折の発生率は国による差があるのでしょうか。
前角先生
日本の大腿骨近位部骨折発生率はいまだに増加していますが、フィンランド、デンマークなどのヨーロッパ諸国、カナダ、アメリカなどの北米諸国では発生率が低下しており、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドでも低下に転じています。特にアメリカとオーストラリアでは、骨粗鬆症治療薬の普及が大腿骨近位部骨折の低下に貢献しているといわれています。ひるがえって日本の状況を見ると、十分な骨粗鬆症治療は行われていないことは明らかです。現在、日本の骨粗鬆症患者さんは約1,100~1,200万人と推定されていますが、治療を受けている方はわずか200万人程度に過ぎないことが示されています。したがって、より多くの方の骨粗鬆症の早期発見と治療を実現することが、骨折発生率の減少を目指す上では不可欠だと考えます。
髙原先生
私どもの医院には椎体がつぶれるように骨折する圧迫骨折の患者さんが多く来られます。この中には、骨粗鬆症の前段階である骨量減少の時点で骨折を起こされている方も少なくありませんので、実際に治療が必要と考えられる方は推定されている患者さんの数よりも多い可能性があると考えています。また、諸外国で骨粗鬆症治療薬が普及し大腿骨近位部骨折が減っている理由として、国が適切な検査を通して患者さんの早期発見に努めていることが挙げられると思いますので、日本でも同様の取り組みを進めていくことが重要だといえます。
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