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骨ケアサミット in 山口中東部 テーマ:「関節リウマチの骨ケア」

関節リウマチは、関節の痛みや腫れ、動かしにくさを伴う病気ですが、さまざまな病気を合併する方が多いことも問題になります。特に、骨がもろくなり骨折を起こしやすくなる骨粗鬆症を合併する方が多いため、関節リウマチ患者さんは骨のケアにも注意を払う必要があるといわれています。今回は、関節リウマチや骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に詳しい先生方にお集まりいただき、関節リウマチに合併する骨粗鬆症の特徴や診断方法、治療薬の種類についてお話を伺いました。

関節リウマチ患者さんの約45%が骨粗鬆症を合併

田中先生
関節リウマチは骨に無関係な病気と思われがちですが、日本リウマチ友の会がまとめた「2010年リウマチ白書」では、関節リウマチ患者さんの約45%が骨粗鬆症を合併していることが報告されています(図1)。この2つの病気はともに、日常生活の動作に大きな支障を来すほか、患者さんの寿命にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。そこで今回は、山口県中東部で関節リウマチや骨粗鬆症の診療に取り組んでおられる先生方に、関節リウマチ患者さんの骨ケアについて伺っていきたいと思います。はじめに山本先生から、関節リウマチの特徴についてお話しいただきます。

図1 関節リウマチ患者さんの合併症の割合

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山本先生
関節リウマチは全身の関節に慢性的な炎症が起きる病気で、日本の患者数は70~80万人といわれています。30~50歳の女性に多く発症しますが、男性や高齢女性の発症が珍しいわけではありません。関節リウマチの主な初期症状としては、朝に手指の関節がこわばりを感じて動かしにくくなることや、関節の腫れ、痛みなどが挙げられます。病気が進行すると症状が出る関節の数が徐々に増えていき、治療をせずに放置していると、やがては関節そのものが動かせなくなっていきます。
田中先生
関節リウマチ患者さんが骨粗鬆症を発症しやすくなる原因にはどのようなものが考えられますか。
宮里先生
骨は全く変化しない組織のように見えますが、古い骨を溶かし(骨吸収)、その部分に新たな骨を作る(骨形成)という骨代謝のサイクルが常に繰り返されています。健康な人では骨代謝のサイクルが正常に保たれていますが、何らかの要因でそのバランスが崩れると、骨はもろくなり骨折しやすくなります。関節リウマチの場合は、関節で起こっている慢性的な炎症が引き金となり、近くの骨の骨代謝バランスが崩れることで骨粗鬆症にかかりやすくなると考えられています。さらに、関節リウマチの症状により日常生活の動作が制限され、体を動かす機会が少なくなることも炎症による骨への悪影響を増幅させることが知られています。

原発性骨粗鬆症とは骨折しやすい部位が異なる

田中先生
実際の診療でも、関節リウマチ患者さんでは骨折が多い印象をお持ちですか。
岸本先生
骨の異常以外の発症原因(関節リウマチの罹患や薬の副作用)がない骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症と呼ばれていますが、これにより骨折される患者さんは高齢の方が多いです。一方で、関節リウマチ患者さんでは20~30代と若くても、重度の骨粗鬆症になり骨折を起こす方がおられます。つまり年齢とは関係なく、関節リウマチを発症すると骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる可能性が高いといえます。
田中先生
原発性骨粗鬆症では脊椎が圧迫され潰れてしまうタイプの骨折が多いのですが、関節リウマチ患者さんの骨折に何か特徴はありますか。
貴船先生
関節リウマチ患者さんでは、脚のつけ根付近にあたる大腿骨頸部の骨折が多い印象です。また、転倒により骨盤を骨折する患者さんが少なくないことも、原発性骨粗鬆症とは異なる点といえます。さらに、日常のなにげない動作で骨折してしまう、いわゆる脆弱(ぜいじゃく)性骨折が骨盤や大腿骨頸部に起きることもあります。
田中先生
海外の研究でも、関節リウマチ患者さんは健康な人に比べ、大腿骨頸部骨折が約1.5倍、骨盤骨折が約2.5倍多いと報告されています1)。また、さまざまな研究から、大腿骨頸部の骨密度も健康な人に比べて低下していることが明らかになっています。
岸本先生
関節リウマチ患者さんのもう1つの特徴として、骨の内部だけでなく骨の表面も弱くなっていることが挙げられます。そのため、骨折に対する手術で留め具を使っても、健康な方に比べるとそれが緩んできやすく、再手術が必要になることも少なくありません。
田中先生
現在、関節リウマチの治療には抗リウマチ薬と生物学的製剤が主に使用されていますが、かつては症状の緩和を目的にステロイドが広く使用されていました。関節リウマチ患者さんの骨がもろくなる要因として、ステロイドの長期使用が影響していることも指摘されていますが、この点についてはどのようにお考えですか。
宮里先生
ステロイドは骨密度の低下を招くことが明らかになっていますので、これも関節リウマチ患者さんが骨粗鬆症を発症する原因の1つとされています。生物学的製剤の登場後は、ステロイドに頼らず症状の改善が期待されるようになりましたが、関節リウマチを長期間罹患している患者さんは、現在でもステロイドを使用されている方が多いです。また、ステロイドを中止することで症状が悪化するケースがあるため、引き続き使用せざるをえない患者さんも少なくありません。このような患者さんでは骨密度が低下し、骨折のリスクが高まっている可能性がありますので、ステロイドの投与量が多い患者さんや長期に使用している患者さんほど骨粗鬆症への注意が必要だと思います。

1) Arthritis Rheum 1984; 27(12): 1353-1361

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