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骨ケアサミット in 浜松 テーマ:「ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症」

高齢になってくると、膝や腰など体のあちこちが痛くなってきます。今まで整形外科を訪れる患者さんは、膝が痛いから膝を治す、腰が痛いから腰を治す治療を受けていますが、議題であるロコモとは、高齢によって膝が腰、さまざまなところが痛く、歩きにくい、転倒しやすい、骨折しやすい、そういった状態において、有効とされる薬物療法や食事療法、運動療法について専門の先生方にお話しいただきました。

ロコモは病名ではなく危険直前のサイン

藤野先生
まず、運動器とは、カラダを動かす骨・筋肉・関節・神経を総称していいます。これらが連動して機能するので、どれかひとつがダメになってしまうとうまく機能しません。特に高齢者になってくると膝や腰など体のさまざまな場所が痛くなり、歩きにくい、転倒しやすい、骨折しやすいという状況になってきます。そういった状況をロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とよんでいます。では、ロコモについて松山先生、解説をお願いします。
松山先生
ロコモとは運動器症候群ともいいます。骨・関節・筋肉など運動器の働きが衰え、暮らしの中の自立、いわゆる自分1人で生活するのが困難になってきます。そうすると介護が必要になってくる、もっと酷いと寝たきりの状態になってしまう。こういった運動器の障害によって、要支援、要介護になる危険性のある状態と、そのような状態になってしまった状態をロコモといいます。運動器障害は機能不全の状態といえます。
藤野先生
では、ロコモの我が国の現状について森先生にお伺いします。

図1 わが国のロコモ推計患者数は4,700万人

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森先生ロコモの主な原因の3大疾患についてみていきましょう。変形性腰椎症の患者は日本で3,790万人(図1)、変形性膝関節症は2,500万人、骨粗鬆症で腰椎と大腿骨頸部を合わせると、1,700万人であるとされています。この3つのいずれかを煩っている人で換算すると、実に4,700万人にものぼり、これだけの方が運動器障害で寝たきりになる前段階であると推定されています。これは非常に多い人数です。

藤野先生では次に運動器障害が寝たきりの原因第3位であるということについてはいかがでしょう。

図2 介護が必要となったおもな原因

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岩瀬先生まず、寝たきりの定義づけですが、介護が必要になった状態としましょう。平成22年に国民生活基礎調査が行われ、そこで介護が必要となった原因をまとめています(図2)。第1位は、脳血管疾患(脳卒中)24.1%。2位が認知症で約20.51%、高齢による衰弱が約13%、次に骨折・転倒、関節疾患と続くわけですが、狭義でのロコモにつながるような運動器障害は、骨折・転倒・関節疾患といえますが、この3つを合わせると先ほどの高齢による衰弱の数値を超え、第3位となるわけです。第1位の脳卒中についても手足が動かなくなるということですから、広い意味では運動器の疾患でロコモにつながるという結果になると、介護が必要となる原因の大半をしめるのは、ロコモといえます。要支援となる原因としては、関節疾患20.2%、老衰、脳卒中、骨折・転倒12~3%と続きます。

藤野先生
国民のみなさんが誤解しやすいのですが、ロコモは病名ではありません。病気になる前の状態です。病気になって病院に行く患者さんは本人が気付いていなくてもすでに要支援、要介護の状態になっている人が大部分です。ロコモは、病院に来る前の段階をとらえたいという考えから生まれました。運動器の機能不全によって転倒しやすくなっている人がいれば、放置すれば要支援や要介護になるよ、という警告ができます。それには7つのロコチェックがあり、それにチェックが入った人は、ロコトレを実施してほしいと思っています。あくまでも病気になる前に、自分の状態を早く知ってほしいということがロコモの目的です。

治療薬の認知と患者の危機感

藤野先生ロコモになる人はほぼ高齢者ですが、その方たちは骨粗鬆症を合併していることが多いです。骨粗鬆症を合併しているがゆえに転倒すると骨折する率が高い、ということになります。ロコモと骨粗鬆症の現状について森先生からお話をいただきましょう。

森先生日本で骨粗鬆症と診断されるのは約1,280万人といわれています。その内、治療をしている方は250万人くらいといわれています。骨粗鬆症とは、骨折しやすい低骨量が原因となる疾患ですが、折れやすい骨は4つあります。一番多いのは背骨(脊椎:せきつい)。次に脚のつけ根(大腿骨近位部:だいたいこつきんいぶ)、手首、腕のつけ根とあります。骨粗鬆症にかかると、例えば背骨の骨折をきっかけに大腿骨近位部骨折を起こして寝たきりにつながっていきます。2007年の一番新しい調査結果に大腿骨近位部骨折は15万人起こしています。その前の段階でくい止めたいと思いますが、治療をしていない患者さんが多く、骨折防止の観点から言えばまだまだというところです。

藤野先生
寝たきりの大きな原因の大腿骨近位部骨折が日本では増加傾向にあるのですが、欧米では減少していますよね? その原因は何でしょうか?
森先生
まず、欧米諸国では発生率自体が下がっています。そして、代表的な治療薬であるビスフォスフォネート製剤(骨からカルシウムが溶け出すのを抑える薬:以下ビス剤)などの骨吸収抑制剤が国民的に浸透してきたのではないかと考察されています。日本では、欧米よりも薬が使われ始めるのが多少遅れるということが背景にあります。ビス剤に関しては約10年遅れています。欧米では1990年代後半から大腿骨近位部骨折の発生率の低下があったので、日本もそろそろ低下が予測されますが、現場の実感として減ってきている実感はあまりないですね。
松山先生
そうですね。骨折の治療を受け持つ立場として、骨折で手術を受けられる患者さんの数は年々増加傾向が続いているようにみえますね。森先生がおっしゃったように、薬を内服している方にどのような薬を飲んでいるか訪ねるとビス剤に代表されるような骨粗鬆症の薬を飲んでいる方はそれほど多くないと思います。
森先生
初回の骨折の方は、約80%近くの方は薬を飲まず転んで骨折しているのです。つまり、自分で骨粗鬆症であることを認識しておらず、ある日、突然転倒して骨折しているという現状です。骨折をしてしまう前段階でしっかり薬物治療を浸透させるということは、大腿骨近位部骨折を減らしていくひとつの方法ではないかと思います。欧米のデータからもわかることです。
藤野先生
確かに非常に重要なご指摘です。しかし、日本はどうして骨粗鬆症治療薬を飲む方が少ないのでしょうか? 再骨折の危険性があると分かっているにも関わらず、大腿骨近位部骨折後も0%しか飲んでいないという現状がありますよね。今、日本だけでなく、世界の大きな流れで再骨折予防、骨折の連鎖を防ごうという流れがあります。それについてはいかがですか。
岩瀬先生
一番始めに骨折しやすい背骨の圧迫骨折を起こされた方が、将来治ったとしても新たに大腿骨近位部骨折や転倒による肩や手首の骨折を起こされています。実際、手術の対象となる骨折の大多数は大腿骨近位部骨折ですが、右脚の骨折をした方が治療のあと反対側の骨折をする人が1〜2割はいると統計学的な数字も出ているので、最初の受診時にしっかり投薬治療を始めることで連鎖を防ぐというのが今後の大きなテーマだと思っています。
一同
本当にそうですね。
藤野先生
ところで、ビス剤でマンスリー(月1回の服用)タイプが出たようですが、いかがですか。
森先生
2つの利点があると思います。ビス剤は、朝起きた空腹時にコップ1杯の水とともに薬を飲んで、後30分横になってはダメというルールがあり、患者さんにとってはつらいことです。その飲みにくさというのが最初はデイリー(毎日)だったのが、ウィークリー(週1回)になり、いまではマンスリー(月1回)で良い薬が出たというのは、患者さんにとって朗報だと思います。あと、患者さんの20%に胃や食道の消化管に障害が出ると言われていますが、薬を飲んで消化管を刺激して出る副作用ですから、それが月1回で済むとなれば我慢して飲むことも増えるのではないかと思います。とにかく内服回数が減るということは、朗報です。あと、海外の動向をみると、もうマンスリー化というのはすでに進んでいて、日本が遅すぎたくらいです。
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